医業停止・歯科医業停止処分を受けた方へ
3 医業停止・歯科医業停止を受けた場合(2)
閉鎖命令について
医療法は、都道府県知事に、次の場合に、病院・診療所の開設許可を取り消し、閉鎖を命じる権限を与えています(医療法29条1項。これらの処分もまた行政処分ですので、処分に先立って告知・聴聞の機会が与えられます。)。
(1) | 開設の許可を受けた後正当の理由がないのに、6か月以上その業務を開始しないとき |
(2) | 病院・診療所(医療法8条の届出をして開設したものを除く。)が、休止した後正当の理由がないのに、1年以上業務を再開しないとき |
(3) | 開設者が医療法6条の3第6項、24条1項または28条の規定に基づく命令または処分に違反したとき |
(4) | 開設者に犯罪または医事に関する不正の行為があったとき |
都道府県知事には最終的には閉鎖を命じる権限まであることに鑑みれば、医業停止・歯科医業停止期間中の病院・診療所の取扱いについては、事前に監督官庁と相談して対策を講じることが重要です。当弁護士事務所はその点もサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
勤務医の雇用契約
あなたが勤務医の場合、勤務先(医療法人等)との間に雇用契約が成立しています。雇用契約は私法上の契約であり、行政処分により自動的に終了することはありません。
もっとも、医業停止・歯科医業停止になったこと、またその原因となった行動を理由として、病院側が雇用契約の解除を主張することはあるでしょう。これに対しては、停止期間の長さや停止の理由、それまでの貢献度などを総合的に勘案し、解雇権の濫用を主張できる可能性があります。
事案によっては、停止期間中は医療行為以外の事務作業で労務を提供したり、休暇を取得したりするなど、病院と調整が可能な場合もあるでしょう。
事務作業等
医業停止・歯科医業停止処分は、「医業」・「歯科医業」を行うことを禁じています。したがって、医業・歯科医業以外の業務、例えば、病院内での受付業務や事務作業を行うことは禁じられていません。勤務医なら、勤務先で医療行為以外の業務に付けないか調整することや、開業医なら、代診の医師・歯科医師を事務的にサポートすることは問題ありません。
ただし、医業・歯科医業を行なっているかのように誤解される行動は慎むべきです。