医師・歯科医師に対する行政処分がされるまでの流れ

意見の聴取

1 事前通知

意見の聴取手続に先立って、処分対象者には都道府県の担当部署より事前に以下の内容が通知されます。

(1) 予定される処分内容
(2) 根拠法令の条項
(3) 処分対象事実
(4) 意見聴取手続の期日・場所
(5) 意見の聴取に関する事務を所掌する部署

2 意見の聴取期日当日

当日は、知事が指名した都道府県の担当部署の職員が主宰者となり、処分対象事実について事実関係を認めるか否かや、事件に至った経緯等を尋ねられます。そのほか、処分対象者から自身にとって有利と考えられる事情を述べることもできます。

口頭でのやり取りで期日は進行しますが、事前に自身の意見をまとめた意見書や、意見書の主張を裏付ける証拠を提出することも可能です。

3 意見の聴取期日後の流れ

意見の聴取期日が終了した後、主宰者は、意見の聴取結果について調書・報告書を作成し知事に提出します。これらの書面の提出を受けて、知事は、意見書を作成し主宰者の作成した調書・報告書の写しとともに厚生労働大臣に提出します。

(1) 調書
調書とは、意見の聴取期日の経過を記載する書面のことをいいます。調書には、処分対象者の医師・歯科医師や、その代理人弁護士が、意見の聴取期日において述べた意見の要旨が記載されます。
(2) 報告書
報告書とは、処分対象事実について、医師・歯科医師やその代理人弁護士が述べた主張を踏まえて、主宰者の意見を記載する書面です。この報告書は、医師・歯科医師に対する行政処分が決定される際に最も重要な判断材料となると考えられます。
主宰者は、意見の聴取期日を主宰し、医師・歯科医師やその代理人弁護士の主張に直接触れることが可能です。医師・歯科医師やその代理人弁護士の主張の様子や医師・歯科医師の反省の態度等は、書面だけで伝わるものではありません。こうした書面では伝わりきらない期日当日の雰囲気等を感得した主宰者が作成する報告書は、知事が意見書を作成する際や医道審議会が処分内容について答申を決定する際に最も重視されると考えられます。
(3) 意見書
意見書とは、主宰者から聴取書・報告書の提出を受けた知事が、これらをもとに行政処分に係る知事の意見と当該意見を述べるに至った理由を記載する書面です。知事が主宰者を指名し、主宰者に意見の聴取手続を任せるという関係にあるので、知事の意見書も主宰者の報告書を酌んだものとなると考えられます。
(4) 閲覧請求
処分対象者は、意見の聴取の際に主宰者が作成した調書・報告書について、閲覧請求をすることができます。

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