処分を争う方法(審査請求・取消訴訟)
3 審査請求と取消訴訟との違い
審査請求においては、処分庁の上級行政庁または処分庁自体が判断主体となります。
こうした制度上、審査の公正性が保たれるかという点に疑義を呈されることもありました。平成26年の行政不服審査法改正によって、審理員制度が導入され、原処分に関与した者は審理員に指名されない(審査請求の審理を行うことができない)こととなりました。
改正前と比較して、不服申立て期間が延長されるなど法改正によって、利用しやすい制度になりました。
これに対し、取消訴訟は、行政権に属さない司法機関である裁判所の判断を仰ぐ手続です。そのため、審査の公正・権利救済の点では審査請求よりも確実な手続といえますが、手続が複雑である点、処分の違法性のみが判断対象になる点に留意が必要です。
なお、どちらの手続を選択するかは、不服申立てをする者の判断に任せられています(行政事件訴訟法8条1項本文)。