処分を争う方法(審査請求・取消訴訟)
1 審査請求
審査請求とは
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(許認可の取消し等)に関し不服がある者が、行政庁に対して不服を申し立て、その違法・不当を審査させ、違法・不当な行為の是正や排除を請求する手続を審査請求といいます。
医師・歯科医師に対する行政処分がされた場合、不服申立ての方法としては、厚生労働大臣に審査請求をするか、裁判所に取消訴訟を提起するかのいずれかになります。(審査請求と取消訴訟との違いはこちら)
審査請求の手続
審査請求をする場合、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内にしなければなりません(行政不服審査法18条1項)。また、審査請求は書面でする必要があります(同法19条1項)。
審査請求の審理は、厚生労働大臣に指名された審理員が担当します(同法9条1項)。公正性の観点から、審理員には医業停止等の原処分の決定に関与していない者が指名されます(同条2項)。
審査請求人(医師・歯科医師)が審査請求書を提出するのに対し、処分庁側は弁明書を提出します(同法29条2項)。
審査請求人は、この弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができます(同法30条1項)。
審理員は、事件が複雑である等の事情から、審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、審査請求人及び処分庁等を招集して、証拠書類等の提出や口頭意見陳述等の申立てに関する意見の聴取を行うことができます(同法37条1項)。
審理員は、この意見の聴取が行われたときは、証拠書類等の提出や口頭意見陳述等の審理手続の期日及び場所並びに審理手続終結の予定時期を決定し、これらを通知します(同条3項)。
審理員は、必要な審理を終えたと認めるときに審理手続を終結します(法41条1項)。審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成します(同法42条)。
審査請求に対する決定
厚生労働大臣は、審理員意見書が提出されてから、遅滞なく裁決をします(同法44条)。
審査請求に理由がある場合には、処分の全部または一部を取り消し、これを変更する裁決がされます(同法46条1項)。
審査請求に理由がない場合には、審査請求を棄却する裁決がされます(同法45条2項)。
執行不停止の原則、執行停止の申立て
審査請求をし、行政処分の効力を争っている場合であっても、当該処分の効力は停止されません(同法25条1項)。
審査請求の審理が終結し、裁決がされるまでの間、暫定的に処分の効力を停止させるためには、執行停止の申立てをし、これが認容される必要があります。
また、審理員が、必要があると認める場合には、厚生労働大臣に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができます。この意見書が認容された場合にも、処分の効力が停止されます。