精神保健指定医の指定が取り消されるのはどのような場合ですか。
精神保健指定医の指定が取り消される場合にはいくつかの類型がありますが,よくある類型として,指定医新規申請時に自らが十分な関わりを持たなかった症例についてのケースレポートを提出し,そのことが原因で取り消されるケースがあります。
精神保健指定医は,一定の経験を有する医師の申請に基づき,厚生労働大臣により,精神保健指定医としての職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者が指定されます。
指定されるための要件の一つとして,「厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること」が挙げられています。厚生労働省は,この要件の充足を認めるための資料として,告示・通知により,統合失調症圏,躁うつ病圏,中毒性精神障害,児童・思春期精神障害,症状性又は器質性精神障害,老年期認知症の精神障害において,措置入院者,医療観察法入院対象者等に関する計8例以上のケースレポートの提出を求めています。
このケースレポートは,精神病床を有する医療機関において常時勤務し,当該医療機関に常時勤務する指定医(指導医)の指導のもとに自ら担当として診断又は治療等に十分な関わりを持った症例について報告することが求められています。
ケースレポートで取り上げた症例が,自ら担当として診断又は治療等に十分な関わりを持った症例ではない場合には,「その他指定医として著しく不適当と認められるとき」(精神保健福祉法19条の2第2項)にあたるとして,厚生労働大臣により,指定を取り消されるか,又は期間を定めた職務の停止が命じられることになります。
指定の取消しがされた場合,原則としてその後5年間,再度の指定を受けることができません。
精神保健指定医の指定の取消し又は職務の停止の処分の可能性がある場合には,処分に先立って行政手続法上の聴聞手続が実施され,その後,聴聞結果に基づいて処分の当否や内容について医道審議会に対する諮問がされます。聴聞手続の実施要領は,聴聞通知書という文書の送付によって告知されます。聴聞期日では,処分対象となる事由について意見を述べたり,証拠書類を提出したりすることができます。
この聴聞手続においては,弁護士を代理人とすることができます。自らの主張をしっかり整理して,充実した主張・証拠提出をしたい場合や,反省の態度を表明しつつ,釈明すべき事項については釈明したいという場合は,経験豊富な代理人弁護士をつけることをお勧めします。